はじめに
基本的に大半のOCメモリは、XMPといってメーカーの設定したクロックやタイミングが保存されていて、使う際はそれを読み込んで起動する。
しかしXMP対応のメモリとはいえ、設定を読み込んだだけで性能を限界まで引き出せるわけではない。メーカーの設定値はマージンを取っていることが多く、まだまだ高い動作速度やタイミングで動かすことができる。
どうせ買ったなら最大限性能を引き出してあげたいと思い調べながらいじってみたが、タイミングまで自分で設定するのはとにかく大変だった。今回は私が調べた中で簡単に出来て効果の大きい項目を紹介する。
我流のやり方なので自己責任の上参考にしてほしい。
手順
ざっくりとした手順は以下の通り。
- メモリの設定を変更する
- Memtest86+で動作確認をする
(ここでエラーが出たら再度メモリの設定を変更する) - ゲームしたりして安定動作を確認出来たら再度メモリの設定を変更、もう少し上の設定を狙う
基本的には安定動作するまで『設定をいじる->テスト』の繰り返し。テストはMemtest86+を使うのが良い。Memtest86+は1周でやめずに4周程度回すと正確な動作の検証ができる。
PCが起動しなくなったり、Memtest86+でエラーが出た場合は電圧を上げたり、タイミングを緩めたりクロックを下げたりと動作速度を落とす等を行い再度PC起動、Memtest86+を行う。これを何度も繰り返し、安定した動作の設定を見つける。
安定した設定が見つかったらそれを保存し、さらに上の設定を目指す。無理そうだったり「もういいや」と思ったらおわり。
Memtest86+ | The Open-Source Memory Testing Tool
Memtest 86+ のエラーの見方
Memtest86+ のエラーの見方についてはこちらの記事で解説したので参考に。
電圧
ヒートシンク付きなら1.5V、そうでないなら1.35Vまでとりあえず昇圧する。
メモリの温度が高すぎると不安定な挙動を示すことがあるのでファンで風を当ててあげると良い。メモリの温度が見れるのであれば必要に応じて電圧を下げて対応する。
基本的には電圧が高ければ高いほど限界も上がるが、温度も上がり不安定になることも多いのでいろいろ試しながら良い落としどころを見つけてやると良い。
タイミング
設定項目が多いためすべての解説は行わない。ここでは実際に私が設定を行い、効果が出たもののみ解説する。
あくまで「そこそこ楽に」というのがこの記事のテーマなので、トコトン限界を追い求めたい方は触れていない説明項目に関しては自分で調べてほしい。と言っても、触れる項目のみで十分効果があり、それ以外を詰めてもあまり変化はなかった。
ファーストタイミング
ここが最も速度に影響がある部分。面倒だったらファーストタイミングだけ、なんならtCLの値をいじるだけでも結構変化が見込める。
tCL (CAS Latency)
小さい値のほうが良い。動作させたいクロックのOCメモリを検索して真似するだけも案外動いたりする。
参考までに、DDR4-3200~3600なら14~16、3600~3800なら16~18、それ以上なら20程度
を最初は狙っていきたい。
tRCD (RAS to CAS Delay)
小さい値のほうが良い。tCL + 2
程度が目安。
tRAS (RAS ACT Time)
小さい値のほうが良い。tCL + tRCD + 0~2
程度が目安。
サブタイミング
tRRDL (RAS to RAS Delay L)
小さい値のほうが良い。6~8
程度が目安。
tRRDS (RAS to RAS Delay S)
小さい値のほうが良い。4~6
程度が目安。
tRFC (REF Cycle Time)
小さい値のほうが良い。300~600
程度を目安に、起動しなかったら少しずつ上げていく。
デフォルトでは結構大きい値が入っているため、600以上の値でも効果が出る。
おわりに
メモリのタイミングは詰めようと思ったらキリがないくらい多くの項目があるが、今回は比較的簡単にでき、効果が見込める項目を紹介した。
今回紹介しなかったものも多くあるので、さらに上を目指したい人は是非調べてみてほしい。