パソコンのクーラーには、水冷空冷問わず基本的には「ファン」がついている。ファンで風を当て、空冷ならヒートシンクを、水冷ならラジエーターを冷やすことで熱を空気中に逃がす。
過程がどうであれ、最終的には風を当て、空気中に熱を逃がすことで冷却している。その冷却性能に大きく影響している「ファン」の選び方について、オーバークロックをする観点で解説していく。
風量とは
風量とは、読んで字のごとく風の量のこと。ファンがどのくらいの量の空気を送り出せるかを示す。
これは実に単純な話で、この値が大きいほど多くの空気を移動させることができる。熱い空気を移動させたい場合は、風量が多いファンが適している。
静圧とは
一方、静圧とは空気の量ではなく空気を「押し出す力」を示す。
これは風量と関係している、というより別の値だと考えたほうが良いと思う。
同じ風量でも静圧が異なるファンもあれば、同じ静圧でも風量が異なるファンもある。それらはファンの造りやサイズなど様々な要因によって異なるので、自分の用途にあったものを選ぶ必要がある。
風の通り道の抵抗
PCのファンの選び方って、ざっくり2種類に分けられる。
- 吸気・排気
- ヒートシンクやラジエータの冷却
これらはつまり、抵抗がない場合、ある場合と言いかえることができる。
抵抗がない場合
吸気・排気、つまり抵抗がない場合のファンの役割として、熱を持った空気の移動である。
吸気の場合、フィルターがあって多少抵抗がある場合も考えられるが、排気に関してはほぼないことが大半だろう。
こういったケースの場合は風量の値が大きいファンが適している。PC内部の熱くなった空気はとにかく外に出すことが望ましい。その場合、必要なのは空気を押し出す力(静圧)ではなくて、いかに多くの空気を移動させることができるのか、つまり風量なのだ。
また、こんな感じでマザーボードのコンポーネントの冷却を行いたい場合も同じで、冷やしたいものの間に抵抗がない。この場合も風量重視で良い。
抵抗がある場合
抵抗がある場合というのは、具体的にはCPUのヒートシンクやラジエータの冷却ファンだろう。
ここで必要なのは、風量ももちろんだが静圧が大切になってくる。ラジエータの冷却ファンが排気の役割も兼ねている場合は特に重要度が高い。
ヒートシンクやラジエータという抵抗の先に空気を送るには、弱い力で多くの空気を押し出せる(大径で弱い力で多くの空気を出すタイプ)ファンよりも、しっかりとした力で確実に空気を押し出す必要がある。つまり、静圧の値が大きいファンが適しているのだ。
結論
ケースファンの排気は「風量」重視、吸気やCPUの冷却用のファンであれば「静圧」も見ておこう。
静圧が大事な場合でも、あまりにも風量が少ないのはNGなので注意
おススメのファン
Noctua IPPC 3000
静圧・風圧共に申し分なしの万能ファン。少し値段が高いが、性能は文句なしのナンバーワン。耐久性も抜群で、俺はこのファンを6年間使っているけど全く壊れない。
とにかく性能が良いので、性能重視の人は迷わずこれを買うべき。昔、120mmラジエーターの簡易水冷クーラーを使っていた時、ファンをこのファンに変えただけで高負荷時の温度が83℃から78℃くらいまで落ちた。神。
SCYTHE ケースファン
Noctuaのと比べると劣るが、必要最低限の性能はある。音が静かなのも良い。出費を抑えて、十分な性能を確保したい人にはおススメだ。
光らせたい人向け
光るファンは粗悪品が多いんだけど、この3つから選べば大丈夫。性能は可もなく不可もなく、といった感じ。高性能を求めるなら少し厳しいかも。